OpenAI o3はo1よりもハルシネーション率が高い

2025.05.01
AI テクノロジー気になる

o3はかなり使えると思っているのですが、「o3」と「o4-mini」は「幻覚（ハルシネーション）」と呼ばれる、AIがもっともらしい嘘や不正確な情報を生成する現象のリスクがo1より高まる可能性があります。

https://www.itmedia.co.jp/aiplus/articles/2504/20/news061.html

それでも業務のサポートや事業成長のヒントを探る上で「o3」と「o4-mini」は無視できない存在になっている企業も多いと思います。

今回は、OpenAIの新モデルのような進化するAI技術とどう向き合い、ビジネスに賢く活用していくべきか、そのメリットとリスク、そして具体的な対策について、考えたいと思います。自社でのAI ビジネス活用におけるリスク管理のヒントになればと思います。

1. OpenAI「o3」「o4-mini」とは？何が変わったのか
2. 高度な推論力の「影」：無視できない「幻覚（ハルシネーション）」増加リスク
3. 中小企業経営者が取るべき対策：AIモデルとの賢い付き合い方
4. 新モデルは「諸刃の剣」：恐れず使うが事実関係は確認する
5. まとめ：進化するAIと共存し、ビジネスを成長させるために

OpenAI「o3」「o4-mini」とは？何が変わったのか

まず、「推論モデル」とは、AIが学習した知識をもとに、新しい問いに対して答えを導き出す「考えるエンジン」の部分です。今回発表された「o3」や「o4-mini」は、この推論能力が従来モデルよりも強化されているとされています。

推論能力の向上によるメリット:

より複雑な指示への対応: 複数の条件が絡み合うような、より高度な要求に応えられる可能性があります。
論理的な思考力の向上: 原因と結果の関係を捉えたり、ステップバイステップで問題を解決したりする能力が向上し、より的確な分析や提案が期待できます。
応用範囲の拡大: これまでAIが苦手としていた、より専門的で深い思考が求められる業務（例：高度なデータ分析、戦略立案の補助など）への活用可能性が広がります。

このように、性能向上は、業務効率化やイノベーション創出の観点から、中小企業にとっても大きなチャンスとなり得ます。

高度な推論力の「影」：無視できない「幻覚（ハルシネーション）」増加リスク

一方で、今回の新モデルでは、「推論能力」の向上と引き換えに「幻覚（ハルシネーション）」の発生率が高まる可能性が指摘されています。

「幻覚（ハルシネーション）」とは？

AIが、学習データに含まれていない、あるいは事実と異なる情報を、あたかも真実であるかのように自信を持って生成してしまう現象です。人間でいう「知ったかぶり」や「創作話」に近いかもしれません。

なぜ「ハルシネーション」が増える可能性があるのか？

推論能力が高まるということは、AIがより複雑な思考プロセスを経るようになり、その過程で、情報の関連付けや類推がより大胆になり、結果として事実に基づかない「跳躍」した結論に至ってしまうケースが増えるのではないか、ということのようです。

より自由に、より複雑に考える力を得たことで、その思考が常に正しい方向へ向かうとは限らない・・・ただハルシネーションを避ける技術も進化しているので、近いうちに限りなくゼロに近づくでしょう。

ビジネスにおける「ハルシネーション」の具体的な脅威

中小企業のビジネスシーンにおいて、AIのハルシネーションは深刻な問題を引き起こす可能性があります。

誤った市場分析・競合分析: ハルシネーションによる不正確なデータや分析結果に基づき、誤った経営判断を下してしまう。
不正確な資料作成: 顧客への提案資料や社内レポートに誤情報が含まれ、信用を失う。
法令・コンプライアンス違反: ハルシネーションによって生成された不適切な表現や誤った法的解釈を含むコンテンツを公開してしまう。
顧客対応の質の低下: 顧客からの問い合わせに対し、AIが誤った情報を提供してしまう。

これらのリスクは、企業の信頼性や業績に直接的なダメージを与えかねません。AI 信頼性は、ビジネス活用において極めて重要な要素です。

中小企業経営者が取るべき対策：AIモデルとの賢い付き合い方

では、ハルシネーションのリスクを理解した上で、中小企業はどのようにこれらの技術と向き合っていくべきでしょうか？闇雲に恐れるのではなく、リスクを管理しながら活用する視点が重要です。以下に具体的な対策を5つ挙げます。

1. 用途の明確化とリスク評価

まず、AIを「何に」「どの程度」活用するのかを明確にしましょう。

リスクの低い業務から試す: アイデア出しの壁打ち相手、文章の要約、定型的なメールの下書き作成など、間違いがあっても比較的問題が少ない業務からスモールスタートするのが賢明です。
リスクの高い業務への適用は慎重に: 経営戦略の策定、財務分析、法的判断、顧客への最終的な回答など、意思決定に直結する重要業務や、外部に公開する情報生成にそのまま利用するのは避けましょう。AI 精度を過信しないことが重要です。

2. 「鵜呑みにしない」姿勢の徹底

AIの生成物は、あくまで「下書き」や「たたき台」である、という意識を組織全体で共有することが不可欠です。

経営者自身が、AIの限界とリスクを理解し、従業員にもその重要性を伝えましょう。
AIが生成した文章やデータは、必ず人間の目で批判的にチェックするプロセスを設けましょう。

3. ファクトチェック体制の構築

特に、外部公開する情報や重要な意思決定にAIを活用する場合は、徹底したファクトチェックが必須です。

信頼できる情報源との照合: AIが提示した情報が正しいか、必ず信頼できるニュースソース、専門家の意見など、複数の一次情報にあたって確認しましょう。
チェック担当者の明確化: 誰が、どのタイミングで、どのようにファクトチェックを行うのか、具体的なルールと担当者を決めましょう。

4. スモールスタートと効果測定

いきなり全社的に導入するのではなく、特定の部門や業務で試験的に導入し、その効果とリスクを測定しましょう。

パイロットプロジェクトを通じて、自社の業務プロセスとの相性、生産性向上やコスト削減への寄与度、そしてハルシネーションの発生頻度や影響度を具体的に把握します。
その結果に基づき、本格導入の可否や、導入範囲、運用ルールを決定します。中小企業 AI導入は段階的に進めるのが安全です。

5. 継続的な情報収集と学び

AI技術は日進月歩です。 新モデルの性能評価、ハルシネーション対策に関する新しい知見、他社のAI ビジネス活用事例など、常に最新情報をキャッチアップし、学び続ける姿勢が重要です。

信頼できる情報源を定期的にチェックしましょう。
社内でAIに関する勉強会を実施したり、外部セミナーに参加したりするのも有効です。

新モデルは「諸刃の剣」：恐れず使うが事実関係は確認する

OpenAIの「o3」「o4-mini」のような新しくリリースされるAIは、中小企業にとって、業務効率化、生産性向上、コスト削減、そして新たなイノベーションを生み出すための強力なツールとなり得ます。推論能力の向上により、これまで人手に頼らざるを得なかった複雑な分析や思考のサポートも期待できるでしょう。

しかし、その一方でAI ハルシネーションというリスクも確実に存在します。このリスクを軽視すれば、誤った意思決定や信用の失墜につながりかねません。

重要なのは、この「諸刃の剣」の特性を理解し、メリットとリスクを冷静に天秤にかけ、自社に合った戦略的な活用方法を見出すことです。