小さなな会社の広報戦略室

小資本スタートアップのためのリードジェネレーションガイド

小資本スタートアップのためのリードジェネレーションガイド

リードジェネレーションが初期スタートアップの命綱

設立間もない企業は「顧客を増やさなければ実績が作れず、実績がないから顧客が振り向かない」というジレンマがあると思います。だからこそ最初に着手すべきは、少額予算でも見込み客(リード)を絶えず生み出す仕組みです。リード獲得は、後工程である営業・CSの効率をも左右する“セールスファネルの源泉”であり、継続的なキャッシュフローをつくる唯一のスタート地点といっても過言ではありません。特に国内の競合が激しいSaaSやD2C、人材、教育分野では、オンライン上で信頼を高速に積み上げることがとても重要になります。

社歴が長いと信頼の一つになりますが、その長さだけで測られないこともあります。独自視点の知識発信、ユーザーとの対話、価値が体感できる無料オファーなどなど――これらを組み合わせることで、創業数カ月でも「この会社は頼れそうだ」という認識を市場に持たせることも可能です。第一のゴールは問い合わせや資料請求をしてもらうことです。そのために以下の4つの施策が有効だと考えます。

低コストで信頼と認知を拡張する四つのオンライン施策

検索エンジンは、資本力の差を縮められるフィールドのひとつです。①競合が拾いきれていないロングテールキーワードを調査し、②課題解決コンテンツを定期発信し、③記事内にホワイトペーパーやチェックリストのダウンロードCTAを設置。この3手順を実施したあるスタートアップ企業は年間リード数を大幅に伸ばしたという事例も存在します。SEOは時間がかかりますが、定着すれば低コストで24時間働く営業部隊にまります。

フォロワーの量より対話の質を追い求めましょう。創業者や担当者がX(旧Twitter)やInstagram、FacebookなどのSNSで業界の疑問に即答し、コミュニティの議論を促すことで「この会社は詳しい」「信頼できる」と認知してもらえることが可能です。ポイントは自社サイトへただリンクを貼るのではなく、たとえば“学びを提供→興味を引く→LPへ誘導”という対話型動線を意識することです。最初の100人でも濃厚なファンにできれば、リポストや口コミで自然と広がります。

「メールアドレスと引き換えに圧倒的価値を届ける」――これは昔からよくある低コスト施策の王道ですが、今でも効果はあります。具体例として、専門家による60分ウェビナー、PDFテンプレート、製品の○○日間フリートライアルなどが挙げられます。ただし質の低い無料コンテンツは信頼を損ないますので注意が必要です。逆に内容が濃いほどリードは温まり、営業接触時の確度も上がります。無料オファーは“実績の代わりに実力を示せる舞台”ということを意識して実施してみてください。

たとえプロトタイプ導入でも、成果が出たら数字とコメントを公開しましょう。成功ストーリーはスタートアップ最大の広告です。クライアントの許可を取り、SNS・LP・営業資料の随所に配置する。推薦文を掲載したページは訪問者の滞在時間が延び、CTAクリック率も跳ね上がる。実績が少ないほど、個々の声を際立たせて「安心材料」を可視化することが有効な手段になります。

リーチを爆発させる成長レバー

補完関係にあるサービスと共同ウェビナーやダウンロード資料などを制作し、互いの見込み客リストを共有すれば、単独施策の数倍のリードが得られます。重要なのは双方の利益が対称になる企画を組むこと。紹介料や限定特典を設計し、継続的に共同案件を生み出す仕組みまで構築できれば、広告費をかけずに新市場への波及が可能です。

基本中の基本ですが全方位戦で戦うことは避けてください。ニッチ市場に絞ると、①顧客課題が鮮明になり、②検索キーワードも限定され、③口コミ伝播が速い。ニッチで生まれたブランド信頼は、その後横展開するときの強固な礎になります。

実行を支える最小限テックスタック

Googleアナリティクスとサーチコンソールで流入と検索意図を把握し、HubSpotフリーで(このブログを書いたときには最大1,000件のコンタクトを登録でき、利用期間に制限なし)リードを管理。無料のformrunのような無料で問い合わせフォームを作成できるアプリを利用して、Bufferのような無料で利用できるSNS運用ツールでSNS投稿を予約、管理する。これだけでほぼ無料でPDCAが回せます。数字が示すボトルネックにだけリソースを投下すれば、少人数でも成果を最大化が可能です。

法人か個人かより、見込み客が感じる「得」が何かに注目します。B2BではROI、B2Cでは感情的ベネフィットとよく言われたりもしますが、結局は「買ってよかったという合理と感情の両立」が大切かと思います。記事・SNS・メールすべてで、相手の期待をどう超えるかを言語化すればチャネル間の一貫性が生まれ、コンバージョン率は自然と上がってきます。

スタートアップがレッドオーシャンでも埋もれずに伸びるかどうかは、①検索とSNSで信頼を高速蓄積し、②無料オファーで直接価値を体感させ、③初期事例を武器に口コミを雪だるま式に増幅できるかにかかっていると思います。まずはSEO記事を週一本以上書いて、ウェビナーを月一回開催し、参加者にPDF特典等を配布するという小さな行動ですが実施してみてください。同時にGoogleアナリティクスと無料CRMで数値を可視化し、反応が良いキーワード・チャネルに一点集中。最初の成功事例を獲得したら推薦文を全タッチポイントに配置し、パートナーシップとニッチ戦略でリーチを加速させる。この反復こそが、広告費に頼らずにリードを絶やさない最短ルートです。