小さなな会社の広報戦略室

ここ数日のAI界隈のアップデートが凄い

ここ最近はAI界隈が目まぐるしく動いています。Meta社はでスーパーインテリジェンスラボ構築に向けて、人材採用に躍起になっています。Metaに加わる優秀なAI研究者の中には、1億ドル(約140億円)規模の報酬を提示されている人もいるそうです・・・。競合のOpenAIから主要研究者も引き抜きをしています。また、英語圏を中心に大手テック企業から新興スタートアップまで、AIの新技術や新サービスが続々と発表されています。僕たち中小企業でも影響がありますので、特に気になる情報に関して書いてみたいと思います。

生成AIプラットフォームの新展開(ChatGPT vs. Google他)

OpenAIのChatGPTは相変わらず攻めまくってます。モバイル分野でも存在感を示し、公式ChatGPT iOSアプリは過去28日間で2,960万回以上ダウンロードされ、TikTokやFacebookなど主要ソーシャルアプリ4種の合計ダウンロード数(約3,290万)に迫る勢いとなりました。2025年3月時点でChatGPTの月間ユーザー数は約6億人に達しており、これは世界人口の約7.5%が毎月ChatGPTを利用していることになります。この普及スピードは、ビジネス分野でも生成AI活用がメインストリームになりつつあることを示しています。

一方、Googleの次世代AIモデル「Gemini」も追随しています。Googleは7月7日付でAndroid端末のGoogleアシスタントを全面的にGemini搭載版へ置き換える計画を公表し、音声通話やメッセージ送信、WhatsApp連携など高度な機能を備えた新AIアシスタントを投入します。さらに開発者向けには1Mトークン(100万語相当)の巨大なコンテキストウインドウを活用できるGemini搭載のCLI(コマンドラインインターフェース)も公開され、AIを活用したコード支援がターミナル上で可能になりました。ただし高性能モデル「Gemini 2.5 Pro」への無料アクセスは制限されるなど、計算資源コストの高まりを受けた方針転換も見られます。GoogleとOpenAIの熾烈な競争は、ユーザー数やモデル性能の面で今後も激化しそうです(実際、2025年3月時点でChatGPT月6億人に対しGeminiユーザーは約3.5億人とのデータもあります)。

OpenAI側のアップデートも引き続き活発です。ChatGPT本体では、企業向けの新機能強化として外部アプリに接続できる「サーチコネクタ」をPro/Teamプラン向けに導入(EU地域を除く)し、チャットボットから直接他のサービスのデータを取り込むことが可能になりました。またMac向けデスクトップアプリでは「ChatGPT Record」機能(Pro/Enterpriseプラン等限定)を搭載し、最長120分の音声会話を録音・文字起こしして自動要約することができます。さらに、OpenAIは7月中旬には旧API(GPT-4.5プレビュー版)を廃止し最新モデルへの移行を促す予定で、常に最新技術へ果敢に挑戦している姿勢が明確です。

大手テック企業のAI戦略と新技術

Appleも生成AIに力を入れています。2025年6月発表のiOS 26・macOS 26では、システムにChatGPTを組み込みテキストや写真から画像を生成する機能が搭載されました。処理速度や利用制限に課題は残るものの、主要OSレベルで生成AI対応が進むのは画期的です。さらに、AppleがAI検索スタートアップ「Perplexity AI」の買収を検討しているとの報道もあり、仮に実現すればApple史上最大の買収になりそうです。Siriに代わる高度な検索AIを手中に収める狙いだと見られます。

MicrosoftはAI研究と実用化の両面で動きがありました。開発部門からは、大規模コードベース解析専用の新AIエージェント「Code Researcher」を発表。従来のコーディング支援を超え、巨大なシステムのバグ原因を自動追跡し修正パッチまで提案できるといいます。これは過去のコミット履歴やパターン分析を駆使し、システムクラッシュの根本原因を特定する高度なツールです。

新興AIツール・スタートアップの台頭

6月後半は、生成AIを活用した新ツールスタートアップの躍進も目立ちました。例えば動画生成AI企業のHeyGenは、画像・映像クリップ・テキストを入力するだけでマーケティング向け動画を自動制作できる「HeyGen Video Agent」を発表しました。シナリオ作成からシーン選択、動画編集までAIが担うこのツールは、コンテンツ制作の常識を覆す可能性があります。音声合成ではElevenLabs初のモバイルアプリをiOS/Android向けにリリースし、これまでWeb版のみだった高品質テキスト読み上げをスマホから手軽に利用可能にしました。さらにMidjourneyは人気の画像生成AIから一歩進んで初の動画生成モデル「Model V1」を公開し、テキストから短い動画クリップを作成できるようになりました。動きや画風、トランジションの細かな制御も可能で、既存のRunway社ツールやOpenAIの動画モデル(コードネームSora)に匹敵するという評価もあります。

AIのビジネス活用と市場動向

企業によるAI活用は一段と広がりを見せています。米国の職場調査(ギャラップ)によれば、AIを業務で使う従業員の割合は過去2年で21%から40%へと倍増し、毎日AIを使う人も4%から8%に増えたことが6月20日に報告されました。生産性向上や分析、顧客サービスでAI活用が急速に浸透しています。

従来の業種でもAI導入が進んでいます。外食チェーンのApplebee’sやIHOPを運営するダイン・ブランズ社は、世界3,500超の店舗でAIツールを展開予定と報じられました。顧客ごとのプロモーション提案やフランチャイズ加盟店向け技術サポート、従業員のシフト最適化まで、AIが裏方で活躍します。また店舗内カメラにAIを組み合わせ、片付いたテーブルを検知してサービス速度を改善するといった試みも行われるとのことです。人手不足やサービス品質向上にAIを活かす動きは、小売・飲食業界でも加速するでしょう。

AI研究のブレークスルーと未来展望

6月後半には将来のビジネスや社会に影響を与え得るAI研究の成果も報じられました。Google DeepMindは熱帯低気圧の進路・勢力を高精度で予測する新たなAIモデルを開発し、困難だったハリケーン予測に突破口を開きました。またDeepMindは6月24日、「AlphaGenome」という新AIを発表しました。1メガベース(100万塩基対)規模のDNA配列を単一塩基精度で解析し、遺伝子スプライシングへの影響を予測できるモデルで、脊髄性筋萎縮症のような遺伝疾患研究に貢献すると期待されています。生成AIの華々しいニュースの陰で、AIが医療・科学研究にも革命を起こしつつあることを示す好例と言えるでしょう。

まとめ

2025年6月中旬~下旬のAI界隈は、生成AIを筆頭に技術革新活用拡大が目覚ましい時期でした。ChatGPTやGoogle Geminiなどの主要プラットフォーム競争はますます激化し、OSやスマートフォンへの統合によってAIは一層身近な存在となっています。大手各社は生成AIを中核に据えた新サービスを次々展開し(Googleアシスタントの刷新やAppleのOS組込みなど)、スタートアップも独創的なAIツールで市場を賑わせています。企業の現場ではAI活用が当たり前になりつつあり、大量の資金がAI関連事業に投じられ続けている状況です。一方で、著作権や仕事のあり方、AI倫理といった課題も顕在化しており、各国政府や司法が対応を模索しています。

まだAIに躊躇している経営者にとって、重い腰を上げて自社のAI戦略を真剣に考えないといけないでしょう。自社業界で活用できる生成AIツール(例えばマーケティング向け動画生成やカスタマーサービスへのチャットボット活用)を積極的に試してみることをおすすめします。社員のAIリテラシー向上も急務です。社内トレーニングや小規模な導入プロジェクトを通じてAIの理解とスキルを醸成しましょう。また、業務プロセスの見直しも必要です。AIによる自動化で不要になる業務と人間にしかできない付加価値業務を見極め、将来を見据えた人材配置転換やスキル変革に取り組むべきです。さらに、法規制や倫理面のチェックも怠らないようにしましょう。特に自社で扱うデータについては、AIへの学習利用が法的に問題ないか(判例の動向にも留意)、生成AIの出力による情報漏洩リスクやバイアスの排除策など、ガバナンス体制を整備することが重要です。

最後に強調したいのは、「AI時代の成功者は変化を先取りし活用した者」だという点です。生成AIと新技術の発展スピードは非常に速く、半年後には今回のニュースが古く感じられるほどでしょう。しかし本質的なトレンドは「AIがビジネスのあらゆる局面に浸透する」という方向に間違いなく進んでいます。経営者の皆様には、テクノロジーの専門家でなくとも常に最新情報をキャッチアップする姿勢と、小さくても実践で試す行動力が求められます。幸い、多くのツールやサービスが簡単に利用できる形で提供されています。本記事の内容がその一助となり、皆様のビジネスにAIの力を取り入れるヒントになれば幸いです。そして変化の波を捉え行動に移すことで、AI時代における新たな価値創造のリーダーシップを発揮していただければと思います。