Geminiの最新アップデートで追加されたスライド資料作成機能が凄い

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資料作成って大変ですよね。構成を考えて、各スライドのテキストを書いて、デザインを整える…。多くのビジネスパーソンが、この一連のプロセスに頭を悩ませているとおもいます。

その常識を覆す画期的なアップデートが、GoogleのAI「Gemini」に搭載されました。何が画期的かというと、プロンプトを一つ入力するだけで、プレゼンテーションスライドを自動生成し、しかも直接Googleスライドへエクスポートできるという機能です。

今までもプレゼン資料などを作れるAIは他にもありますが、Google環境とのシームレスな統合と、迅速な資料作成フローにおいてはGeminiで製作できるのはとても使い勝手が良いです!

この記事では、Geminiの新しいスライド作成機能について、基本的な使い方から、資料のクオリティを格段に引き上げるための応用テクニックまで、わかりやすく解説していきます。資料作成の効率を劇的に向上させたい方は、ぜひ最後までお付き合いください。


Geminiの公式スライド作成機能とは?

    では、この新機能、一体どういうものなのでしょうか。

    簡単に言いますと、Geminiに新しく追加された公式スライド作成機能というのは、みなさんが入力したテーマや指示に基づいて、プレゼンテーション資料の構成、テキスト、簡単なデザインまでを自動で生成してくれる機能です。

    「それって、今までもできたんじゃないの?」

    そう思われた方もいらっしゃると思います。実は、以前もGeminiを使ってスライドのようなものを生成すること自体は可能でした。しかしながら、高度なテクニックを必要とするか、公式ではない手段に依存していたため、現在の公式機能と比較すると非常に煩雑でした。たとえば、生成されたHTMLコードをGoogle Apps Script(GAS)というプログラミング言語を使って変換するなど、専門的な知識が必要でした。つまり、誰にでもできる方法ではなかったわけです。

    では、今回のアップデートで何が変わったのか。

    実はここがポイントです。プロンプトを一つ入力するだけで、Geminiがスライドを生成し、ワンクリックで直接Googleスライドにエクスポートできるようになりました。

    要するに、外部ツールや複雑なスクリプトを一切使わずに、Geminiという単一のプラットフォーム内でスライド作成からエクスポートまでが公式に完結するようになった、ということです。これは大きな進歩と言えるでしょう。


    誰でも簡単!Geminiでスライドを作成する基本手順

      「でも、難しいんじゃないの?」

      そう心配される方もいらっしゃるかもしれません。ところが、実際にやってみると、驚くほど簡単です。それでは、実際にGeminiでスライドを作成する基本的な流れを、4つのステップで見ていきましょう。

      2.1. Step 1: 「Canvas」機能をオンにする

      まず最初に、スライド作成機能を使うための準備をします。

      Geminiの「Canvas」機能を有効にします。

      やり方は簡単です。

      1. Geminiの画面を開きます。
      2. 画面左下に「ツール」というボタンがありますので、これをクリックしてください。
      3. すると、メニューが表示されます。この中から「Canvas」を見つけて、スイッチをオンにする。

      たったこれだけです!

      この設定を行うと、Geminiの回答が右側のプレビューパネルにリアルタイムで表示されるようになります。そして、スライド作成機能が使えるようになるわけです。

      2.2. Step 2: 作成したいスライドの内容を指示する

      次に、どんなスライドを作りたいのか、Geminiに伝えます。

      プロンプト入力欄に、作成したいスライドの内容を具体的に入力します。最初は、シンプルな指示で十分です。

      たとえば、こんな感じです。

      プロンプト例:

      「米国の関税政策に対して日本の産業界はどのように対応をしていけば良いのか対応策をまとめて」

      これだけで、そこそこの資料が出てきます。

      この指示を送信すると、Geminiがスライドの作成を開始します。

      2.3. Step 3: プレビューを確認し、Googleスライドへエクスポートする

      すると、画面右側のパネルに、生成されたスライドのプレビューが表示されるんです。パネル上部の矢印ボタンでページを送って、内容を確認することができます。

      「これでいいな」と思ったらパネルの上部に「スライドにエクスポート」というボタンがありますので、これをクリックするだけです。これで、編集可能なGoogleスライド形式のファイルが自動で作成されます。

      実に簡単です!

      2.4. Step 4: Googleスライドで編集・他形式で保存する

      エクスポートが完了すると、Googleスライドでファイルを開くことができます。

      ここからは、みなさんが普段使っているGoogleスライドと全く同じように操作可能です。

      普通にテキストの修正や追記、画像の差し替えやサイズ変更、レイアウトの調整などといったことが、自由に行えます。

      さらに、完成した資料は、Googleスライドの機能を使って、PowerPoint(.pptx形式)やPDF形式でダウンロードすることもできます。つまり、Geminiで作成した叩き台を元に、さまざまな形式で資料を完成させることができる、ということです。


      資料の質を上げるための応用テクニック

        ここまでの基本的な使い方だけでも、十分に便利ですよね!ここからはより意図に沿った高品質なスライドを作成するためのコツです。

        単純な指示では、結果が不安定になってしまうことがあります。これを減らして、プロフェッショナルな資料を作るための3つの応用テクニックをこれからご紹介していきます。

        3.1. コツ1:具体的で詳細なプロンプトを記述する

        先ほどのたとえで記載したプロンプトのようなシンプルなものは曖昧な指示になってしまいます。これではうまくいかないことが多いです。Geminiが勝手に言葉が足りないところを考えて生成するので、自分の意図とずれてしまうことが多いです。アウトプットの質を安定させるためには、プロンプトに以下の要素を盛り込むことが有効です。

        • 目的: この資料で何を達成したいのか(例:わが社の魅力を伝え、人材募集を増やす)
        • ターゲット読者: 誰に向けた資料なのか(例:就活の学生)
        • 含めたい内容: 各スライドで触れてほしい具体的なトピックやキーワード
        • デザイン要件: コーポレートカラーや全体のトーン

        要するに、こういった情報を詳細に記述することで、Geminiはより文脈を理解して、精度の高いスライドを生成してくれるということです。

        3.2. コツ2:事前に構成案を作成し、インプットする

        では、最も効果的なワークフローは何でしょうか。実は、スライド全体の構成案を事前に作成して、それをGeminiに提供するという方法です。

        具体的に言いますと、

        たとえば、Googleドキュメントに各スライドのタイトルと盛り込みたい要点を箇条書きでまとめます。そして、そのドキュメントをGeminiにアップロード(またはテキストをコピー&ペースト)して、「この構成案に基づいてスライドを作成してください」と指示します。

        このワークフローの何が良いかというと、AIの自由な発想に任せる部分を減らして、自分の考えたストーリーラインに沿った資料を作成できる点です。

        さらに高度な方法もあります。ChatGPTのGPTsなどを活用してスライドの構成案自体をAIに作らせて、それをGeminiに入力するという合わせ技も有効です。

        3.3. コツ3:「Gems」機能で『スライド用JSONジェネレーター』を自作する

        ここからは、上級者向けのお話になります。

        「毎回同じような高品質なスライドを効率的に作成したい」そう思われている方もいらっしゃるでしょう。そんな方には、Geminiの「Gems」機能を活用するというなワークフローをお勧めします。つまりスライド構成案を対話形式で作って、構造化されたデータ(JSON)を出力させる方法です。

        手順を説明しましょう。

        1. 「スライド用JSONジェネレーター」Gemを作成する: まず、「Gems」のカスタム指示に「スライドのタイトル、目的、ターゲットなどを順番に質問し、最終的にスライド構成案をJSON形式で出力してください」といったプロンプトを保存します。これで、自分専用のGemを作成。
        2. Gemと対話して構成を練る: 作成したGemを起動すると、質問に答えていくだけで、スライドの目的、ターゲット、デザインの方向性、各スライドの内容などが整理されていきます。
        3. JSON形式で構成案を出力させる: 対話が完了すると、Gemはスライド全体の構造を記述したJSONコードを生成してくれます。
        4. 新しいチャットでJSONを貼り付ける: このJSONコードをコピーして、Canvas機能をオンにした新しいGeminiのチャット画面に貼り付けて送信します。

        こうすることでGeminiは構造化された指示を正確に解釈して、意図に沿った高品質なスライドを一貫して生成することが可能になります。


        Geminiスライド作成機能のメリットと注意点

          さて、ここまで新機能の使い方を見てきましたが、気を付けないといけない点もあります。この新機能はとても便利なのですが、万能ではありません。順番に見ていきましょう。

          4.1. メリット:スピーディーな叩き台作成とGoogle連携

          まず、最大のメリットは何でしょうか。それは、資料作成の初速を圧倒的に高められる、という点です。

          具体的に言いますと、

          • スピード感: ゼロから構成を考えて、スライドを作成する手間を大幅に削減できます。数分で資料の「叩き台」が完成。
          • 手軽さ: 他のツールを行き来することなく、Geminiの画面内で作業が完結します。これは大きいですよね。
          • Google連携: Googleスライドへシームレスにエクスポートできるため、その後の編集や共有が非常にスムーズです。

          つまり、時間と手間を大幅に削減できるということなのです。

          4.2. 注意点:デザインの質と専門ツールとの比較

          一方で、現時点ではいくつか弱い部分があります。

          正直に申し上げますと、

          • デザインの質: 生成されるデザインは、比較的シンプルです。Gensparkのようなスライド作成特化型ツールと比較すると、デザインの洗練度や表現力は桁違いであり、現時点では明確な差があります。
          • 情報の正確性: これは重要なポイントなのですが、AIが生成する情報には古い内容や誤りが含まれる可能性があります。ファクトチェックは必須です。
          • 細かい不具合: Googleスライドへのエクスポート時に、プレビューでは表示されていたアイコンが一部欠落する、といった軽微な不具合が発生する場合があります。

          こういった点から考えますと、Geminiのスライド作成機能は「完成品」を一発で作り出すツールというよりは、「編集の叩き台」を迅速に作成するためのツールとして活用するのが、今のところ最も効果的な使い方かもしれません。


          まとめ

          いかがでしたでしょうか。

          Geminiに搭載された公式のスライド作成機能は、資料作成のプロセスを根本から変える可能性を秘めた強力なアップデートです。

          特に、資料の構成やテキストの叩き台を迅速に作成したい場合や、普段からGoogleスライドを主体に作業されている方にとっては、絶大な効果を発揮するでしょう。

          確かに、デザインのクオリティや情報の正確性といった面では、まだ発展途上です。しかし、そのスピードと手軽さは、他のツールにはない大きな魅力ですね。

          とりあえず簡単なテーマで一度、この機能を試してみてください。そして、重要なプレゼン資料を作成する際には、事前に構成案を用意してからGeminiに指示するなど、目的に応じて賢く使い分けることで、みなさんの資料作成の生産性は劇的に向上するはずです。新しいツールは、使ってみて初めてその価値がわかるものです。ぜひ、今日から試してみてくださいね。

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