はじめに
今年もあと2日で終わりですね。今年最後のブログになります。2025年を締めくくる今回のブログでは、2025年の広告・マーケティングを振り返りながら来年のトレンドを予想していきたいと思います。
さて、あなたの会社の広告・マーケティング活動は、今年2025年、期待通りの成果を上げていましたか?「予算は限られているのに広告費は高騰するばかり」「AIが良いと聞くけれど、どう使えばいいか分からない」そんな悩みを抱えているかもしれません。2025年の中小企業のマーケティングの厳しい現状をデータで振り返りながら、今年に引き続き2026年にAIがもたらす変化を予測していこうかと思います。あなたの会社が来年、競合の一歩先を行くためのヒントになれば嬉しいです。
1. 2025年、日本の中小企業が直面した「厳しい現実」
1-1. 予算は横ばい。多くの企業が陥った「成果不全」
2025年、日本の中小企業は極めて厳しいマーケティング環境に置かれました。データがその実態を物語っています。
- 予算の停滞: 2025年の調査(※2025年「Webマーケティング投資実態調査」)によると、中小企業の77.5%がマーケティング予算を前年度と「変化なし」と回答。さらに深刻なのは、58.5%もの企業が年間予算100万円未満という現実です。月額に換算すれば10万円にも満たない予算で、激化するデジタル競争を戦い抜かなければなりません。
- 成果の実感不足: 多くの企業が限られた予算の中でSEOやSNS広告に取り組んでいますが、「あまり成果を感じていない」「全く成果を感じていない」を合わせた否定的な回答が実に64.5%もあります。この「成果不全」の根底には、「社内の知識不足」や、施策を打ちっぱなしにする「分析・改善プロセスの不足」という構造的な課題が存在します。
1-2. AI活用の現在地:効率化の「お手伝い」に留まる日本、成長の「エンジン」にする米国
AI活用において、日米の中小企業でも違いがあります。
- 日本の状況: 日本の中小企業のAI導入率は中小企業のAI導入率は、調査によって5.1%〜42.3%と大きな開きがありますが(これはAI定義の違い、企業規模の違いなどの理由)問題なのはその使い方です。主な用途は「文書作成の補助」や「要約」といった事務作業のアシスタント役に多くは限定されており、AIをビジネス成長に直結させられていないのが実情です。
- 米国の状況: 2024年のマッキンゼーのグローバル調査によると、米国企業の約72%が何らかの形でAIを導入済みと回答しており、全業種平均でも過半数にのぼります。調査方法やAI定義の違いで一概に日本とは比べることはできませんが、調べていると中小企業でもAIを予測分析や広告運用の自動化といった、収益に直接貢献するような使われ方を積極的にしている中小企業が日本より多い印象があります。AIを単なる効率化ツールではなく、事業を拡張するための戦略的パートナーと位置付けているのです。
2. 2026年:中小企業が知るべき3つのトレンド
2025年に引き続き2026年もAIは一層マーケティングを後押しします。そこで3つの変化を解説します。
2-1. トレンド1:「指示待ちAI」から「自律実行AI」へ。マーケティング担当者が”もう一人”生まれる時代
これまで私たちが使ってきたChatGPTのようなAIは、指示を待つ「ツール」でした。しかし2026年に主流となるのは、「エージェント型AI」です。
これは、与えられた目標(例:「見込み客リストを100件作成する」)に対し、AI自らが計画を立て、必要なツール(Web検索、CRMなど)を使いこなし、タスクを完遂する「デジタル従業員」とも呼べる存在です。
例えば、営業AIエージェントは、Web上の情報から見込み客を特定し、アプローチから日程調整までを自動化します。また、広告運用AIは、複数のプラットフォームを横断してクリエイティブ制作から予算配分までを自律的に最適化します。もはやAIは道具ではなく、あなたの会社の”もう一人”のマーケティング担当者になるのです。まだ、精度的には高いといえませんが来年は今年以上には精度が向上してくると思います。
2-2. トレンド2:「検索する」から「AIに聞く」へ。SEOの次に来るのは?
消費者の情報収集行動が劇的に変わります。これまではGoogleで検索し、表示されたリンクをクリックして情報を探していました。しかしこれからは、AIチャットに直接質問し、要約された答えを得る「ゼロクリック検索」が当たり前になります。
何回かブログでも取り上げましたが、この変化に対応するため、従来のSEO(検索エンジン最適化)に代わり、AI時代に対応するLLMO、GEOという概念があります。LLMOはAIモデル自体への包括的な学習・最適化(内容の正確性・網羅性重視)、GEOは検索エンジンに統合された生成AI(AI Overviewsなど)がユーザーに回答する際に自社コンテンツを参照させることに重点を置いた施策です。例えば、地域のパン屋が「地元の小麦農家との共同開発ストーリー」や「天然酵母の科学的な解説」といった一次情報を発信することで、AIは「この地域のパンに詳しいのはこの店だ」と判断し、関連する質問への回答に引用しやすくなるのです。
具体的には、他にはない一次情報の発信、専門性の高い詳細なレポートや解説記事の作成などが重要になります。これからのWeb戦略は、人間に読まれるだけでなく、「AIに引用される」ことを強く意識する必要があります。
2-3. トレンド3:広告運用は「完全自動化」へ。人間の役割は「戦略」に集中する
Meta社(Facebook、Instagram)やGoogle社は、広告プラットフォームの完全自動化を急速に進めています。特にMetaは、2026年末までに広告運用を完全に自動化する計画を発表しました。
これは、企業が広告素材(商品画像など)と予算を投入するだけで、AIがクリエイティブ制作からターゲティング、予算配分、配信最適化までをすべて自動で行う時代が来ることを意味します。
この変化により、中小企業は日々の細かな「運用の手間」から解放されます。しかし、その一方で、AIに何をさせるかという「戦略立案」や、自社のブランドはどうあるべきかという「世界観の定義」といった、より本質的で創造的な人間の仕事の重要性が、これまで以上に高まることになるのです。
3. 2026年を勝ち抜く!中小企業のためのAI活用戦略ロードマップ
では、この「自律実行AI」「GEO、LLMO」「広告の完全自動化」という地殻変動を、中小企業が具体的にどう乗りこなし、自社の武器に変えていけばよいのでしょうか。そのための実践的な4つの戦略を提示します。
3-1. まずは「守り」の効率化から。AIでクリエイティブ制作を民主化する
AI活用の第一歩は、コスト削減と時間短縮に直結する「クリエイティブ制作」から始めるのが最も効果的です。これまで専門業者に依頼したり、担当者が時間をかけて作成したりしていたバナー広告やSNS用の動画制作は、画像・動画生成AIの活用で劇的に効率化できます。
国内でも、昨年の話になりますが伊藤園がCMに「AIタレント」を起用してコスト削減と話題化を両立させたり、サイバーエージェントがAI活用で動画広告の制作時間を80%も削減したりといった事例がすでに出てきています。例えば、CanvaやAdobe Fireflyといったツールを使えば、専門知識がなくてもSNS投稿用の高品質なバナーやショート動画の素材を数分で作成できます。AIは、高品質なクリエイティブ制作を非デザイナーにも使いやすくし、予算の限られた中小企業でも内製化を可能にする強力な武器です。
3-2. 「人間参加型」ハイブリッドモデル
米国によく見る「完全自動化」をそのまま真似る必要はありません。日本の中小企業には、独自の勝ち筋があります。
- ハイブリッドモデル: 日本の消費者が求める品質水準は非常に高いです。そのため、AIが8割の作業(下書き、分析、パターン出し)を行い、最後の確認・承認・微調整を人間が行う「人間参加型(Human-in-the-Loop)」モデルが最適です。これにより、AIのスピードと人間の品質担保を両立できます。
3-3. 広告費高騰への最強の対抗策。「信頼」を軸にした顧客関係への回帰
AIが進化し、広告が自動化される時代だからこそ、人間同士の「信頼」の価値が相対的に高まります。Cookieが廃止された今、顧客が自らの意思で提供してくれる「ゼロパーティデータ」や、自社で直接収集する「ファーストパーティデータ」は企業の生命線です。
広告だけに依存するのではなく、既存顧客からの紹介(リファラルマーケティング)を仕組み化することが、最も費用対効果の高い集客策となります。データによれば、紹介経由の顧客の成約率は、他のチャネルに比べて40%以上も高いという結果が出ています。顧客との信頼関係を深め、ファンになってもらうこと。これこそが、AI時代における最強の防衛策であり、成長戦略なのです。
3-4. 消費者の心をつかむ新しい価値観。「ウェルビーイング」と「共感」
2026年、消費者の関心はどこへ向かうのでしょうか。調査によれば、抽象的な「SDGs」への関心よりも、高齢者や子供の「見守り」や、心身の健康を意味する「ウェルビーイング」といった、より生活に密着したテーマへの期待が高まっています。
また、ショート動画の世界では、単なる商品紹介よりも、開発の裏話や失敗談といった「人が見える共感される動画」が注目を集める傾向が顕著です。実際に、ストーリー型動画は商品紹介だけの動画に比べて再生完了率が1.5倍以上になるケースも増えています。AIが効率化を進める一方で、マーケティングの核心は、人の心に寄り添い、共感を呼ぶストーリーを語ることへと回帰していくでしょう。
4. 【朗報】国の助成金でAIスキルが学べる
「AIの重要性は分かったが、学ぶための予算も時間もない…」そう感じた方に朗報です。今なら、国の手厚い助成金を活用して、社員のAIスキルを劇的に向上させることができます。
国の人材開発支援助成金「事業展開等リスキリング支援コース」は、令和8年度(2026年度)までの期間限定で利用できる非常に有利な制度です。この制度を活用すれば、中小企業は研修費用の最大75%研修中の賃金まで助成されます。
具体的な試算を見てみましょう。 「100万円のAI研修が、実質負担わずか1万円で受講可能」 これは決して大げさな話ではありません。経費助成(75万円)と賃金助成(例:24万円)を合わせると、自己負担はほぼゼロになるケースも珍しくないのです。この絶好の機会を逃す手はありません。今すぐ行動を起こすべきです。
まとめ:2026年、AIを最強のパートナーに!
2025年は、中小企業にとってAIというものに試行錯誤しながら触ってきた年だったかもしれません。2026年はAIがさなる進化をして使いやすさもアップし、本格的に導入する大きなチャンスの年になると思います。
たとえば広告運用やクリエイティブ制作といった作業はAIに任せる。そしてぼくら人間は、より付加価値の高い仕事に集中するのです。日々の細かな運用作業に忙殺されるのではなく、本来経営者が最も時間をかけるべき仕事に、中小企業の経営者も集中できる年になるではないでしょうか。
来年はこの変化の波を乗りこなし、飛躍の年にしたいものですね!


コメント